家庭部門の電力自由化が施行されるまでの経緯と3つの目的

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電力自由化の目的

長期に渡って各地域を独占する電力会社しか選択できませんでしたが、2016年4月より消費者自身が料金やプランなどを確認しながら、好きな電力会社を選ぶことが可能となりました。

しかし、そもそもなぜ「電力自由化」を施行することになったのか?

消費者にとってはあまり関係ないかもしれませんが、自由化が始まった経緯や本来の目的を知ることで、なぜ日本の電気料金は高いのか理解できると思います。

民間企業なのに倒産するリスクをあまり感じていなかった電力会社・・、このままでは本当に倒産してしまうかもしれませんね。

家庭向け電力自由化が施行されるまで

日本国にとっては民間企業に自由競争をさせることになり、東電や関電などのように扱いやすい存在とはならないはず。それでも自由化が具現化した理由のひとつが「福島の原発事故」です。

メディアでは連日のように東電批判を放送し、運営体制がどれだけ悪態だったのかは私たちでも認知する事となりました。そして国民からの反発に耐えかねた政府は、日本の電力を独占させていた体制にメスを入れたのです。

これまでの日本の電力市場

一般家庭にお住いの方はご存じないでしょうが、1995年に電気事業法は改正されて電力会社への卸売りをする事が可能となりました。ただ、企業向けの法改正であって、家庭向けの電気代には関係しない事です。

当時から家庭向けの電力自由化は議論されていましたが、送電網を独占している電気事業連合会10社によって、自由化は進むことがありませんでした。

電気事業連合会とは?

北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力、10社のこと

日本の電気は上記10社が掌握しており、自家発電をする以外お金を払い続けなければ生活ができないのです。全て大手企業であり社会的信用はありますが、言い方を変えれば企業通しの争いがなく、公務員とそこまで違いがないのではないか・・と思ってしまいます。

東日本大震災で福島第一原発事故

記憶にも新しい悲惨な災害だった東日本大震災ですが、2次災害で起こった福島の原発事故が最悪の事態を招いたと言っても過言ではないでしょう。

災害当時は半径数十キロ以外立ち入り禁止など、津波の被害はないのに今現在でも仮設住宅で生活している人がいます。その被害をもう少し抑えられていたのでは?と批判されているのが東京電力であり、津波に耐えられないと分かっていたとも報じられていました。

原発事故の後に経産省やメディアから、日本の電力事業に関しての問題提起がされました。

  • 電力は、地域独占10社体制で供給され、新規参入が事実上阻害されている。
  • 総括原価方式(発電設備の減価償却費、燃料費、人件費、修繕費などの原価に一定割合の利益を乗せたものを電気料金とする) という、いわば都合のいい料金設定をすることが認められていることにより、世界的にも電気料金が高額である。
  • 政府は、使用済み核燃料を再処理し、高速増殖炉の燃料とする方針を掲げ、これまで数兆円を投じているが、再処理工場の完成は延期され続け、高速増殖炉の実用化の目処は立っていない。
  • 使用済み核燃料は、地下深部の地層で、数万年以上保管する必要があるが、保管場所の目処も立っていなく、福島第一原子力発電所のように使用済み核燃料は日本各地の原子力発電所内で保管され、危険な状態にある。
  • 福島第一原発は、地震にも津波にも耐えられない状態で、東京電力も規制当局もそのリスクを認識しながら、地震津波への対応をとっていなかった。

全て的を得た内容であったため反論できず、電力自由化が実現する大きな要因となりました。

チェルノブイリ原発事故後も同様の動き

東日本大震災よりだいぶ昔の事ですが、ウクライナ(旧ソビエト連邦)で起こった「チェルノブイリ原発事故」をご存知でしょうか?世界最大の原発事故でもあり、その事故後が今の日本と少し似ているような気もします。

福島原発事故より甚大な被害を受けたチェルノブイリですが、その影響で自然エネルギーの普及を急激に進めました。ヨーロッパでは多くの国で脱原発の考えが根強くあり、国によっては50%以上を自然エネルギーが占めているところもあります。

また、日本のように独占している電力会社はおらず、消費者は数ある電力小売り会社から選び、自由な売買「電力自由化」が当たり前となっているのです。

過去に例があったのに全く生かされてませんね・・。

電力自由化の目的

原発事故をきっかけに家庭向けの「電力自由化及び電力システム改革」には、大きく分けて3つの目的があります。経済産業省が公表しているものを分かり易く説明していきます。

電気料金の引き下げ

まずはじめにお伝えするのは消費者に大きく関係してくる「電気代がどのくらい安くなるのか」です。各家庭によって使用する電気量は違いますが、毎月必ず支出となるひとつであり、1割~2割程度安くなるのであれば相当大きな得をする事ができます。

某サイトで行ったアンケートでは・・

  • とりあえず乗り換えてみたい(7%)
  • 安くなるのであれば乗り換えたい(59%)
  • 乗り換えしたくない(10%)
  • 不明(24%)

電力自由化のアンケート

乗り換えたいと思っている人が70%程度はいるようで、電力自由化への関心が高いことが証明されています。ただ、他のアンケートでは「乗り換えた人の反応を見てから乗り換えたい」といった意見も多くあり、関心はあるがその反面抵抗もあるのでしょう。

今よりどのくらい安くなるかは企業独力によるものと、既存の送電網を借りる際に支払う託送料というものがある。まず企業独力に関しては、ポイント連動などの付加価値を加えることや、キャッシュバックで囲い込みを行うことが考えられます。100社以上の参入なのでそれぞれのメリットを見ていれば、自分に合ったところが見つかるはずです。

しかし、送電網の使用に掛かる費用に関しては企業努力でどうにもならない点であり、電気料金の安さを決定するには託送料が鍵となります。今後は経産省、送電網を管理する電力会社、小売り参入の企業との動きに注視しましょう。

電力の安定供給

安定供給?と言われても、電源を付けたら当たり前のように利用している私たちには見えてきませんが、今こうして何不自由なく電気を使えているのは、需要と供給のバランスを保ち、発電量にずれが生じないよう発電所の運転をすることが義務付けられています。

この事を「同時同量」と呼び、電力事業で最も重要な定めでもあります。

同時同量とは、電力の需要と供給を絶えず一致させることを言う。 需要と供給のバランスを保つことで、電気は電気のまま貯めておくことが難しく、また「売り切れましたので停電します」と言うわけにもいかないビジネス上の特性がある。

出典:日経テクノロジー

電力自由化により新電力会社がたくさん参入しますが、当然、今と同じように同時同量の義務が課されます。また、参入する事業者には需要を補うための確保が義務付けされ、それらの処置により安定供給を保つ事が可能とります。

消費者の選択肢や事業者の事業機会の拡大

上記で紹介した電気料金の引き下げ、電力の安定供給に大きく関わってくる事ではありますが、新電力が増えることにより現在の使用料金と比較してメリットのあるプランが生まれます。

そして、独占していた10社の体制を根本的に崩し、新規参入する企業への事業機会を拡大することにより、「電力システム改革の3つの目的」が達成となります。

電力システム改革の実施スケジュール

電力システム改革の実施スケジュール

平成25年4月2日に閣議決定した「電力システム改革」ですが、平成32年頃までの期間を目途に実施スケジュールが3段階に分けられています。簡単に説明しておくので頭の隅っこにでも置いておいてください。

経産省のHPからダウンロードできる情報なので、詳細を知りたい方は確認されてください。

経済産業省 資源エネルギー庁ホームページ

広域系統運用期間の設立

実施時期:平成27年4月1日

内容:東日本大震災の際に関東と関西で電気のやり取りができない・・といった事態が起こったのを覚えていますか?その教訓を生かして全国の送配電網の整備、需給調整機能の強化を目的として設立されました。

電気小売業への参入の全面自由化

実施時期:平成28年4月1日

内容:『電力自由化とは何?仕組みやメリットをたった3分で理解する』で電力自由化について詳しく説明していますが、これまで独占市場だったものが開放され、ソフトバンクや楽天といった民間企業でも事業への参加が可能となります。

電気小売り料金の全面自由化

実施時期:平成32年4月1日

平成28年4月から実施する「参入の全面自由化」と混合しそうですが、言葉の意味はまったく違い小売業者が販売価格を自由に決めることができるようになります。

それまでは一定の規則(料金・プランなど)の元、消費者へ電力を配電することになる一方、平成32年を目途にそれらの決まりごとが撤廃され本当の意味での「自由競争」となるでしょう。

まとめ

福島の原発事故がきっかけとなり大きな動き出した「電力自由化」で、消費者である私たちにメリットがなければ意味がありません。できるだけ多くの企業に参加してもらい、各社の料金合戦が始まってくれるのを望みます。

当サイトでは正式に参入表明した企業の特徴などを調査し、どの新電力がお得なのか?そこに焦点をおいて記事の更新を続けていこうと思います。どの企業にも依存せず公平に評価していくので、今後電気の乗り換えを検討するならブックマークなどしておいてください。

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